このページでは、家賃保証会社の“取り立て・督促”について解説します。
「取り立て」というと、サラ金や闇金をイメージする方も多いのではないでしょうか?
テレビドラマや漫画などで、怖い暴力団のような取り立てを行う金融業者が描かれることも、よくありますよね。
一方、家賃保証会社の取り立てはどうでしょうか?
「家賃保証会社はサラ金や闇金ではない」
「家賃は借金ではない」
だから、サラ金や闇金のような怖い取り立ては無いはず…と考えてしまっていませんか?
実はこのイメージ、現実とは大きく異なります。
まず最初に、家賃滞納を放置すると何が起きてしまうのか、実際にあった事件から見てみましょう。
福岡地裁平成21年12月3日判決の中で、事件の概要が説明されているため、この判例をもとに解説していきます。
内容は少々ショッキングですが、裁判所に公式に記録されている“実在の事件”です。
実際の判例は少し読みにくいので、当サイトにてポイントを整理してみました。
●8月31日午後9時頃、取立てのため滞納者の自宅を訪れ、玄関において取り立てを行った。
●滞納者は「3、4日待ってほしい」と伝えたが、家賃保証会社のスタッフは、荷物の処分をするための委任状への記載・押印を要求した。
●スタッフの一人は、無断で滞納者の携帯電話内の電話帳を閲覧した。
●家賃保証会社スタッフの要求により、滞納者は、同僚、上司、妹に金を貸してくれるよう電話させられた。しかし、断られた。
●別のスタッフが無断で部屋に入り込み、財布を見つけて中身を調べた。
●午前1時頃、滞納者を車に乗せて、滞納者の母親宅へ連れて行った。その際、滞納者自宅の玄関ドアの鍵にカバーをかけ、開錠できなくした。
●家賃保証会社スタッフの要求により、 滞納者は、母親に土下座して「お金をどうにかしてほしい」と頼まされたが、母親は断った。
●その後、母親宅を離れ、カラオケ店の駐車場に車を止め、車内で取り立てを続けた。
●最終的に、母親を保証人にすべく再び母親宅に向かった。 母親をまじえて取立行為が継続された。結局、母親が連帯保証人になる事になった。
●家賃保証会社スタッフは、家族構成の資料を提出させた。それを見て、「3日後に支払いがなければ孫の小学校に行く」と伝えた。
●午前3時頃、滞納者と母親はようやく解放された。
いかがでしょうか?
これが“実際にあった、家賃保証会社の取り立て”です。
このほかにも、
といった数々の事件が起こっています。
「なぜ家賃保証会社は、これほど怖ろしい取り立てを行うの?」
「こんなことをやって、違法ではないの?逮捕されないの?」
…と、疑問に思われた方もいるでしょうか。
結論から言えば、“家賃保証会社には取り立て・追い出しを規制する法律がない”ため、悪質強引な取り立てを行う業者もいるのです。
サラ金など貸金業者の取り立てには、規制法があります。そのため、サラ金は次のような取り立てが行えません。
ですが、こうした“サラ金でも行えない取り立て”も、家賃保証会社は法律で禁止されていません。
そのため、家賃滞納などのトラブルを抱えてしまったら、まず真っ先に「自分や家族、周囲の人の身を守り、家賃滞納を解決する方法」を考える必要があります。
家賃保証会社の取り立て被害、追い出し被害に遭ったときに、民事裁判で争うことはできます。ですが、規制法が無いため、警察や消費者センターなどの公的機関で対処してもらうことは、基本的に期待できません。
そのため、こうしたトラブルの被害や不安については、“弁護士”に相談するのがもっとも良いでしょう。
先ほどご紹介した“過激な取り立て”は、もちろん全ての家賃保証会社が行うわけではありません。
ですが、過激な取り立てが無く、一般的な督促状や催告状、電話などでの取り立てに留まる場合も、「怖い目に遭わないから」と放置していて良いわけではありません。
滞納家賃も“金銭に関する債務”なので、滞納が長引けば、裁判所に訴えて判決を取り、差し押さえ強制執行や強制退去となってしまう可能性が高くなります。
家賃をどのくらい待ってもらえるのか…逆に言えば、どのくらい滞納すると、法的手続きに訴えられてしまうのかは、明確な基準はありません。
ですが、過去の裁判例などにより、「およそ3か月」が目安と言われています。
これは、家賃滞納が3か月続けば、「信頼関係が破綻した」と裁判所に認められて、滞納者は“民法第一条2項(信義則)違反”とされ、強制退去や差し押さえが認められやすくなるためと考えられます。
家賃を3か月滞納すると、債権者(貸主や家賃保証会社)が裁判で勝ちやすくなるため、「滞納すると3か月で法的手続き」と一般的に言われているのでしょう。
少しテクニカルな話ですが、補足として解説しておきます。
家賃保証会社と契約している場合、家賃を滞納すると、家賃保証会社が代位弁済を行います。この代位弁済により、“家賃そのものは貸主に払われているため、債務不履行の状態にはならない”という説もありましたが、この説は大阪高裁判例(大阪高判H25.11.22判時2234-20)にて覆されました。
この判例により、仮に家賃保証会社が代位弁済を行っていても、家賃債務は不履行として、賃貸契約に基づく強制解除(強制退去)が認めらるとの判断基準ができたことになります。
ここまでお読みいただいて、「難しい話で、よくわからない」と、少し混乱された方も多いのではないでしょうか。
家賃滞納のトラブルには、さまざまな専門用語や、法律、判例(過去の裁判の判決)などが、いくつも関係してきます。この記事で触れた部分は、ほんの入り口に過ぎません。
「今はネットで自分で調べて勉強できるから」
「googleやyahooで検索すれば、たいていのことはわかるから」
…と、自力で対処しようと思うと、大きな失敗につながる危険性が、非常に高くなります。
だからこそ、「家賃が払えない、支払いが苦しい」悩みは、プロの法律家に相談する必要があります。
地域の法テラス等で無料法律相談が行われているので、そちらに電話して予約を取り、足を運んでみても良いでしょう。
ですが、“家賃滞納のタイムリミットは3か月”なので、すでに時間のない場合もありますね。この場合、時間のかかる法テラスではなく、もっと急いで相談する必要があります。
そこで一つの方法として、“債務整理に強い弁護士への、無料相談サービスを活用する” 方法があります。
詳しい相談方法を次の記事にまとめたので、こちらもあわせてご覧ください。
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